影絵NAGAO 白川 芙士雄 さん



 

略歴

 77歳。愛媛県生まれ。北九州市小倉南区在住。
 高校卒業後、通信機器メーカーのエンジニアとして東京で就職。転勤で東北や九州などの各地を回っていた。25歳の時、会社の大型プロジェクトで、北九州市に一時期滞在した。このときに知り合った現在の妻と結婚。この結婚を機に、妻の地元である北九州市に根を下ろす決心をし、元々勤めていた通信機器メーカーの子会社に転職。その後も、北九州市と、九州の各地への転勤の繰り返しで単身赴任の生活を送っていた。退職後、北九州市長尾地区を拠点に、影絵と劇の演技によるボランティア団体「影絵NAGAO」をはじめ、様々なボランティア活動に携わっている。

 

活動について


 仕事では、九州各地の転勤を繰り返していたが、昔から子供が好きで、休日は自分の子供と一緒に、地域の子供たちにソフトボールを教えたり、子供会のキャンプのお世話をしたりするなど、いろいろな地域活動に携わっていた。特にボランティアをやっているという意識はなかった。
 40歳の頃、約10年間、現在の北九州市小倉南区に在住した。その頃も、子供たちとの地域活動を行っていたため、地域の方々からお願いされたこともあり、地域でスポーツ推進委員を務めることとなる。この時、自分と同じようにスポーツ推進委員を務めながら、NPO活動にも携わっていたある方と知り合った。この方は、企業経営者として事業を行いながら、一方で、非行少年の自立支援という社会貢献活動もされている方であった。この方の何事にも一生懸命に取り組む姿勢に触れ、さらに自己の活動が、広く社会貢献にも繋がっていくという点に深く感銘を受けた。この出会いが、本格的なボランティア活動を始めるきっかけとなった。
 現在の「影絵NAGAO」は、北九州市小倉南区長尾市民センターで開講されていた講座「男の料理教室」の仲間が母体となった。この講座が終了した後、せっかく集まった講座の仲間で、地域のために何か還元する活動をしないかとの市民センター長からの勧めもあり、地域の歴史や昭和の遊びを地元の子供に教えるボランティア団体「腕まくり隊」を結成。この活動を通じて、地域のことをもっと知り、歴史文化を勉強していくうちに、地元に伝わる孝行息子の民話、「孝子吉兵衛物語」と出会うこととなった。この民話を広く伝えていけば、地域がもっと良くなっていくのではないかとの思いで有志を募り、ボランティア団体「影絵NAGAO」を立ち上げた。

 活動の場は、子供たちが集まる地域の公民館から、高齢者が通うデイサービスセンターや老人ホーム等の福祉施設、一般市民を対象とした市民センターなど様々。拠点は長尾地区においているが、現在は、北九州市のボランティア団体として登録しているため、オファーがあれば北九州市全域のどこにでも出向いて活動している。

 活動メンバーは18名。最高齢のメンバーは86歳になる。メンバーの中には、皿回しやフラダンスなど、それぞれ特技を持っている方がいるため、活動の際には影絵の他にいろいろな出し物を組み合わせて、工夫して見せるようにしている。ちなみに白川氏はマジックも得意。オファーがきたときに、活動先の担当の方と細かな打合せを行い、それぞれの訪問先に合わせて皆さんに喜んでいただけるような内容にしている。

 「子供たちを相手に、『孝子吉兵衛物語』の影絵劇を上演するときは、『親孝行とはこのようなものだ』と押し付けるのではなく、影絵を見てもらうことで、子供たち自身が自ら感じ、何かを吸収してくれればそれでよいと思っています。例えば、ゴミが落ちていたら、それを自主的に拾った子供を褒めてあげる。地域の大人たちが、子供たちの自主的な行いを見守ってあげる。影絵を通じて、子供たちが少しでも良い方向に育っていけばという思いで活動を続けているのです。」と、白川さんは語る。

 高齢の方を対象に、「孝子吉兵衛」の話をすると、田舎の農家で貧しかった自分の子供の頃の思い出と重ね、感激して泣きだす方もいる。最後に拍手をいただきお礼を言われると、自分たちの活動が皆さんに感動を与えているとやり甲斐を感じるが、同時に、日々精進していかなければならないと気分を引き締め、意識して活動している。

 活動を行う仲間たちに対しても、決して押し付けはしない。自主的に参加してもらうが、参加するからには責任を持って役割を果たしてもらうようにしている。皆さん高齢でもあるし、うまくコミュニケ―ションを取りながら活動を続けている。
自分たちの責任で、自分たちの持っている能力を社会活動に活かして社会に還元する。そうすることで、活動に参加している本人にとっても達成感が生まれ、生きがいも生まれて来るのではないかと考えている。
 「代表を務めると、いろいろと大変なことはあるが、活動を見に来てくれた皆さんに喜んでいただけると、それが糧となり、次につながる原動力となるのです。」と、気持ちは熱い。

 活動は、これだけに留まらない。
 ボランティアメンバーの輪を広げるために、毎年5月に、地域のいくつかのボランティア団体メンバーと、一般の方を対象にした交流パーティーを開催している。そのパーティーでは、集まった団体の紹介などを行いながら参加者の交流を深め、ボランティア団体未加入の方が、興味を持った団体に参加していただくきっかけになるような場としている。このように、ボランティアに興味を持つ方の背中をちょっと押してあげて地域の担い手を増やしていくことも、大切な活動の一つだと思っている。
 小倉南区で、夏に行われているお祭り「まつりみなみ」で「手作りこどもみこし大会」という神輿の出来を競うイベントがあり、毎年地域の子供たちと一緒に神輿を作って参加している。神輿を作る際は、子供達が主体的に参加できるよう、大人のアイデアは入れず子供のアイデアを第一に神輿作りを行っている。このようにして取り組んだ結果、平成28年に引き続き平成29年もグランプリを受賞した。2年連続でグランプリを獲るのは過去に例がないとのこと。過去20年間の大会で通算4回のグランプリを受賞した。地道な地域活動の結果、地域で子供たちに目を向けて、成長を見守ってやろうという人たちが増えてきたと感じている。


 

メッセージ


 高齢者の皆さん方は、多分何かやりたいという気持ちを持たれていると思うが、一歩踏み出せる勇気がなくて立ち止まっている方も多くいるのではないかと思う。そのような人たちが、一歩踏み出す手助けができればと考えている。今、団塊の世代と呼ばれる人たちも70歳を迎えている。団塊世代の方たちは、65歳を過ぎても仕事を続けている方が多く、社会活動に参加する方は少ないのではないかと思っている。そのような方々が、社会活動にスムーズに加わっていただけるような手助けができれば、我々の活動も途切れることはない。地域もよい方向に向かっていくのではないかと思っている。
 地域で何かやりたいと思っている方がいれば、是非、声をかけてほしい。

 

infomation


 長尾市民センター
 電話 093-451-1620